2011年11月28日

文科省によって否定された原発事故由来のストロンチウムと2人の女優のがん死から見える放射性物質の長期的影響

 10月に横浜市内で検出されたとされるストロンチウムは文科省の検査により、福島原発事故由来ではないと判断されている。
 文科省と横浜市とでは異なる検査機関が検査したこともあり、当初ストロンチウムを検出した民間検査機関は、差が出た原因を調査するようなので、その結果を待ちたい。

 以下、単位はすべてBq/kgとする

 まず、当初横浜市で検出された放射性物質は、
市内マンション屋上側溝で、セシウムが63434、ストロンチウムが195、
市内道路側溝で、セシウムが39012、ストロンチウムが129、
市内噴水で、セシウムが31570、ストロンチウムが59、
となっている。

 次に東京都で検出された放射性物質は、
東京国際フォーラム前で、セシウムが20955、ストロンチウムが51、
経産省前で、セシウムが48000、ストロンチウムが48、
清澄白河駅前で、セシウムが19127、ストロンチウムが44、
となっている。

 セシウムに対するストロンチウムの割合はだいたい0.2%から0.3%前後の範囲に収まっており、この割合だけ見ると、いかにも福島原発事故でセシウムといっしょに同じ比率でストロンチウムが首都圏に飛んできたと思わせる。

 ところが、文科省は別の検査機関で測定した結果を公表し、
横浜市内道路側溝でストロンチウム不検出、
横浜市内噴水でストロンチウムが1.1
となっていて、さらにこれらの周辺の土壌も検査していて、
道路側溝付近の土壌でストロンチウムが0.82、
噴水周辺の土壌でストロンチウム不検出
との結果が出ている。
 セシウムについては横浜市の計測結果と同じではないが似たような値が出ている。

 文科省のこの結果だけを見るとストロンチウムについては原発事故の影響は無いと判断できる。
 最初に横浜市内でストロンチウムを検出した民間検査機関は、文科省と同じように道路側溝周辺と噴水周辺の土壌から採取した試料を検査して比べてみれば、だいたいのことはわかるだろう。

 問題はこの検査結果が示すものだ。
 文科省の検査結果でストロンチウムが不検出、あるいは微量だったとしても、首都圏にセシウムが大量にあることに変わりはないし、福島市内でストロンチウムが77と検出されている事実も変わらない。

 1950年代から1960年代前半までは大気圏核実験が頻繁に行われ、死の灰が地球上に降り注いだ。
 沢田名大名誉教授によれば、日本は雨がよく降るので、大気中を浮遊している放射性物質が雨とともに日本にはかなり多く落下したのだという。

 環境化学分析センターなどが、大気圏核実験のときの日本国内の水田土壌の放射能濃度を論文に記している。
 放射能汚染の最大値は1963年から1966年にかけて観測され、ストロンチウムに関しては1963年において最大値が26.9で最小値は3.1、平均は13.7だった。セシウムに関しては同じく1963年において最大値が100で最小値が7.3、全国平均は38.9だった。

 セシウムに関して言えば、首都圏でも核実験当時よりも現在のほうがはるかに土壌汚染は深刻である。ストロンチウムについて言えば、文科省の検査結果であれば現在のほうが軽く、横浜市民によるものであれば滞留した場所では現在のほうが深刻である。

 ただ、核実験当時にはストロンチウムはセシウムの約1/3あるのに、現在は比率でみると大量にあるセシウムに比べるとストロンチウムの量は、文科省の検査であろうと市民の調査であろうと小さい。
 これは、たぶん福島原発事故で核爆発のようなことは起きなかったからだと推測できよう。それでも、セシウムの量はうんざりするほど多い。

 東北大の瀬木三雄博士が大気圏核実験による放射能汚染とがんとの相関の研究結果を公表している。
 その研究結果によると、日本での小児がん死亡者数は人口10万人当たりで1960年代中ごろまでに戦前の7倍近くになっている。ここがピークで以後は減少に向かっている。
 老人のがんの場合は加齢の影響もあるので戦前との比較は難しいが、子供のがんは加齢の影響を無視できるだけに戦後は50年代から始まった核実験による放射能の影響だったのではないかと思える。部分的核実験停止後は小児がんが減ってるだけに特にそう感じられる。

 そして、白血病と乳がんの2つのがんも日本で戦後増加している。
 チェルノブイリ原発事故のあとウクライナでは大人の白血病が増えたと報告され、乳幼児期に被曝した女子が成人すると乳がんにかかりやすいと言われている。

 東京都立衛生研究所の調べでは、乳がんによる死亡は戦前は年間900名程度で、1955年では1572名だったのが、その後ほぼ右肩上がりで増加し、1996年には7900名となった。
 また、昨年は乳がんによる死亡者数は12000名を超えている。
 これも大気圏核実験時代の50年代から60年代に、子供のときに被曝した女性が成人後に発病したと見られなくもない。

 白血病に関しては、1950年代から増え始め、0〜9歳では1965年がピークで、10〜19歳では1980年がピークだと青木國男愛知県がんセンター名誉総長は言っている。
 これもやはり、50年代から60年代に大気圏核実験による死の灰で乳幼児期に被曝した者が9歳以下で発病し、そうでなければもう少し成長してから発病すると思えなくもない。

 セシウムは女性の乳腺に蓄積しやすいと言われている。また、ストロンチウムは骨に蓄積されやすいとされている。
 乳腺に放射能が浴びせられれば乳がんに、骨髄に放射能が浴びせられれば白血病をはじめとする血液の病気(リンパ腫や骨髄腫)になりそうなことくらい一般人でも容易に想像がつく。

 1980年代に大人気だった女優の夏目雅子は、人気絶頂の1985年、27歳のときに白血病で死んでいる。彼女が生まれたのは1957年だ。
 また再発する乳がんと長年闘病し続けて今年力尽きた女優の田中好子は、1956年の生まれである。また、彼女は荒川沿いで育っていて、弟も骨肉腫という放射能由来であっても不思議でない病気で若くして死んでいる。
 ECRRのバズビー博士の言う河川流域に放射能は滞留しやすいという説と妙に符合する。

 こうした悲劇を回避するために、まずストロンチウムとセシウムの汚染濃度をそれぞれの地域でもう一度見直して、国と自治体はもっと真剣に地域に見合った対策を練るべきではないだろうか。



posted by 春眠 at 09:49| Comment(1) | 原発・放射能・自然エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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