2012年02月20日

拡散した放射能の濃縮

 福島の高濃度放射能汚染地帯となっている森林の除染活動では、まず落ち葉をかき集める。
 放射能は葉にべったりと貼り付くため、放射能のついた落ち葉を集めれば、放射能を集約することができる。
 落ち葉を取り除いたあとは、線量がかなり下がるようだが、それでも4割程度の下げにとどまるようで、依然と高線量のままだ。

 こうした落ち葉を集めて、放射能濃度を測ると極めて高い値となる。
 最も放射能の濃い部分だけを集めたのであるから、当然放射能濃度が高くなるので、この値をそのままその土地の放射能濃度とするには、問題もあるようだ。
 同じように側溝などの雨水が放射能を集める場所でとった土も、その土地の一般的な濃度とはできない。あくまでも集約された濃度となる。
 水に運ばれた放射能が溜まった土に捉えられて、そこに放射能が集中する。

 杉並区の学校の芝生シートでも高い放射能濃度が計測されたが、これもシートが放射性物質を吸いつけてしまったので、その濃度をそのまま一般化することは必ずしもできない。

 ゴミに少しだけ放射性物質がついていても、ゴミが大量に集中するゴミ焼却場でゴミを燃やせば、ゴミは燃やせば灰になって軽く小さくなるが、放射性物質は燃やしても量は変化せず、煙とともに排出された分を除いた量だけ残るので、ゴミを焼却したあとの灰の放射能濃度は当然高くなる。
 濃縮された灰の処分の問題と煙として環境中に排出される放射能の問題があるため、日本国内の各自治体は、市民との間で放射能のついた震災がれき受け入れをどうするかで揉めている。個々のがれきについた放射能が微量でも大量に集まれば、放射能も焼却炉で危険なレベルまで濃縮されてしまう。

 落ち葉や雨水によって放射能が高濃度になるのは環境濃縮と呼ばれるが、人為的であるものの似たような作用が焼却場で起きる。
 良いようにとれば、環境濃縮や焼却場の濃縮によって、環境中に拡散した放射能を集めてくれているので、環境全体の放射能を除去しているとも考えられる。
 環境濃縮を利用すれば、効率的に環境中の放射能を減らしていける。
 ただ、放射能の溜まり場を発見し、汚染物質を除去したあとは、そこの線量を継続的に測り、減っているかの確認が必要で、放射能が溜まりやすいだけに再び溜まってきたらそこの汚染物質を除去するという継続的な作業が必要となるだろう。



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2012年02月21日

東京都内の高級住宅地で検出された放射能

 世田谷の高級住宅地で家のほこり50gから75ベクレルが検出されたという話を木下黄太が明かしている。

 放射能の環境濃縮の起こり方としては、雨水が流れるところに土があると雨水は土中を流れるが、放射能は土に捉えられて集められ、濃縮されて行くことがわかっている。
 水は放射能を流し、土は放射能を捉える。

 世田谷の家のほこりの場合も、ほこりの粒子に放射性物質が捉えられたと考えることも可能だろう。
 杉並区の小学校の芝生シートが放射能を捉えたように家のほこりが放射能を捉えたと仮定できる。
 掃除機のほこりの線量がかなり高いとのネットの記事を昨春に見た覚えがあるので、ほこりも土のように放射能を捕まえるのかもしれない。

 世田谷の家のほこり50gも掃除機が吸引したもののようだ。
 もしそれが掃除機で家の中全体のほこりが吸引されたものだとし、放射能が家の空気中のほこりによって捕まえられるとするなら、世田谷の家のほこり50gには、家の空気中の放射能が濃縮したと考えることもできる。

 50gで75Bqだからといって、単純に1kgに換算して1500Bq/kgとしてしまうのは問題があるかもしれない。
 たとえば、1kgのほこりを採取してみて、その中にこの50gにしか放射能が無いとすると1kg当たりにしても75Bqとなる。
 線量の高かった昨春と比べると現在では都内で降下する放射性物質は検出できないレベルにまで落ちているので、残りの950gからは放射能が検出されなくてもおかしくはない。
 だが、どうも家のほこりの検査は昨年の暮れに行われているようなので、都内の大気中に放射能が舞っていた昨春あたりのほこりはもう含まれていないのかもしれない。

 それでも、50gのサンプルを1回だけ計測するのではなくて、1kgに達するまでサンプルを採取し続けないと全体像は見えない。
 2回目以降採取したサンプルからは放射能が検出されない、あるいは下がることも考えられるので、継続的な検査が必要だろう。継続的な検査でいつも50gのほこりから75Bqが検出されるなら、その家の放射能濃度を1500Bq/kgとしてもいいと思う。

 もし、1kg中にこの50gにしか放射能が無いとすると75Bq/kgとなるが、65倍して平方メートル当たりに換算すると、4875Bq/uとなってかなりの高濃度となる。
 これも杉並区の小学校のケースと同じで、土壌を深くさらって放射能を薄めているわけではないので、この50gで75Bqがすべて家の床に降ったとするとそのまま家の延べ床面積で割っても構わないと思う。
 世田谷の高級住宅ということなので、かなり広いと仮定できる。仮に延べ床面積が100uだとすると、75を100で割れば、1Bq/uを切って、かなり低い値となる。
 逆に、これが昨年12月のデータとするなら、その前のサンプルではもっと高い値が出るとも推測できる。
 そういうわけで、1回の計測だけで済ますのではなくて、継続的に検査しないと実態はわかりにくい。

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2012年02月23日

供述調書の多くが証拠不採用となった陸山会事件小沢裁判の行方

 田代検事や前田元検事の法廷での証言によって、供述調書の任意性が問われ、また、田代検事の捜査報告書にはあった小沢被告の強い関与を示す部分が石川議員の隠し録音には無かったという点での不一致が判明し、石川議員の調書の多くが却下された。

 法廷での証言を重視して審理が進むのが、最近の重大事件裁判の傾向で、陸山会事件の元秘書の裁判でも、JR福知山線脱線事故の元社長の裁判でも、法廷での証言が信頼されて、判断が下されていた。
 だから、法廷での審理で供述調書の信頼性に疑念が生じたときに証拠として却下されるのは、最近の傾向に沿っている。


 陸山会事件の元秘書の裁判でも、多くの供述調書が却下されたが、水谷建設元社長の偽証罪の成立する宣誓した証人としての贈賄を認める証言が重かった。
 JR福知山線脱線事故では、検事がダイヤ改正の意味を十分に調査しなかったことなどがあり、法廷での証人の証言が供述調書と相反していたが、偽証罪の成立する宣誓した証人の証言のほうが重かった。

 公判での立証過程で発覚した問題に対応する場合、法廷での証言を重視するというのが、ここのところの裁判所の姿勢となっている。

 今回は小沢被告の強い関与を示す石川議員の供述調書は不採用となったが、石川議員は小沢被告の公判でも強い関与は否定していたので、これらの供述調書が採用されたとしても、法廷での証言が優先された可能性が高い。
 そして、大事なのは、石川議員は小沢被告の政治収支報告書虚偽記載の関与を全面否定しているわけではないということだ。
 小沢被告は一貫して政治収支報告書や収支については知らない、秘書に任せていると主張しているが、小沢被告公判で石川議員は口頭で収支については小沢被告に話していると証言している。
 また、池田元秘書が小沢被告への収支の報告を認めた調書は証拠として採用されている。
 しかも、4億円の融資書類に小沢被告が署名したとの客観的事実もある(小沢被告は内容を知らずに署名したと主張)。

 会計責任者の大久保元秘書は、形だけの会計責任者で、実務は別の秘書がやっていたと小沢被告の公判で証言している。
 会計責任のある、会計責任者も資金管理団体の代表の小沢被告も、収支報告書については知らないと言い張っている。
 少なくともどちらかには収支報告については重い責任があるはずで、小沢被告が無関係なら大久保元秘書の責任は重く、大久保元秘書が無関係なら小沢被告の責任は重い。

 検察官役の指定弁護士は、客観的事実によって有罪を立証しようとしているようだ。
 とりあえず、法廷での証言は却下されず、正当性の欠ける調書は排除されたので、採用された調書は確実な証拠とされる。
 これら正当性が確認された証拠だけでも、検察官役の指定弁護士は有罪の立証はできるだろう。
 検察の供述調書が信頼を失った最近の裁判では、裁判所は法廷での立証過程を重視し、法廷での証人の証言を重視している。法廷で最後の捜査をやっているようなものだ。
 そして、法廷での捜査の結論は、裁判所が下す。

posted by 春眠 at 11:35| Comment(0) | 政治・経済・社会・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月26日

放射能のついたガレキの処理

 震災被災地でのガレキの処理が遅れていて、焦る政府は、全国の自治体にガレキ焼却を依頼している。
 ガレキの受け入れを要請されている自治体は、被災地の窮状と政府から来る焼却費用を考えれば震災ガレキの受け入れは認めたいようにも見えるが、震災ガレキには放射能もついていることから、地域住民の反発を招いている。

 放射能というのは基本的には封じ込めて行って、集約すべきなのだが、政府はガレキの放射能汚染を問題無いレベルだからと全国に放射能を拡散させたいように見える。
 何も汚染レベルの低い地域に放射能を持って行く必要もないとも思うが、政府内ではどうも低放射線量安全説が優位なようだ。
 原発安全神話の次は低線量安全神話かとも思う。

 ただ、放射能ガレキを震災被災地に放っておいていいわけでもなく、悩ましい問題ではある。
 放射性セシウムについては、既存の焼却炉でも、排気プロセスで吸着させることは理論的に不可能ではないようだ。
 放射性セシウムを約700℃以上で燃やせば、気化するので、気化したセシウムを排気管に流し込み、急速に冷却すれば、セシウムはガスから物に戻るのでそこでフィルター除去してしまう。
 フィルターとしてはバグフィルターが考えられている。

 でも、これだけでは不安なので、原子力施設で使われているHEPAフィルターやガラス繊維フィルターもつけておいたほうがいいようだ。
 これらフィルターは、より高性能のものも出ているので、それらを実験し、比較検討して、最善の組み合わせを見つけるべきだろう。
 また、1回のフィルタリングで放射能を取り切れない場合、線量計の値を確認しながら、こうしたフィルタリング・プロセスを2回、3回と循環させる必要もある。

 フィルターで放射能を除去できたとしても、フィルターや燃え残った灰には極度に放射能が濃縮されるので、これらの処分をどうするかも問題となる。セシウム以外の放射性物質が残っていることも考えられるので慎重な対応が求められる。
 低線量安全神話のもとで、環境中に捨ててしまえ、となると地域住民の理解は得られにくい。
 だから、こうした放射性廃棄物を管理できる格納庫が必要となる。浅い土中に格納庫をつくって、そこに保管するのが海外では一般的なようだ。

 放射性廃棄物に加えて、高濃度に放射能汚染された焼却炉をどうするかの問題もある。
 放射性物質のついたゴミ専用の焼却炉としてしまうのか、その後も非放射性廃棄物の処理に使い続けるのか、このへんの判断もいる。

 つまり、放射能汚染されていない地域で、放射能ガレキを焼却する場合、排気ガス中の放射能だけでなく、放射能の濃縮されたフィルター、灰、焼却炉についても対応を決めておく必要がある。

 既存の焼却施設への新たなフィルタリング・システムの追加や環境から隔絶された灰の処分場の建設、焼却炉の放射能除染または廃棄などのコストも考えて、どういう形で放射能のついたガレキの処分を進めるかを判断すべきだろう。
 全国に分散してこうした放射能処分できる施設を新たに建設するのか、震災被災地でもってこうした集約型高性能焼却施設を建設すればいいのか。
 はたまた、低線量安全神話で、適当に処理するのか。
 こうした判断は低線量被曝をどう考えるかで、意見は真っ二つに分かれる。

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2012年02月28日

震災ガレキ焼却で放射能を環境中に排出しない覚悟

 放射能のついた震災ガレキ受け入れを巡っては、関心の高い住民と自治体との対立が日本全国で起きている。
 政府や自治体がバグフィルタ−で放射能はほぼすべて除去できると説明しても、低線量被曝を心配する住民の不安は解消されない。
 通常の廃棄物焼却で使われている焼却施設のままで、バグフィルターがついてるから大丈夫と言われても納得できないだろう。
 放射能という特殊な物質のついたガレキを焼却するのに既存の焼却炉のままというのは不安になる。

 バグフィルターだけでも、有害物質そのものはかなり除去できるようだが、焼却時に気化してしまう放射性セシウムはバグフィルターだけでは吸着しきれないのではとの疑問は残る。
 除去率を上げるなら、気化した放射性セシウムを冷却して液化するプロセスを排気系に追加すべきだろう。ガスのままよりは、液体に戻したほうがフィルターで取りやすいはずだし、こういう設備も実際に存在する。

 また、放射性物質のついた稲わらを食べた牛の肉が汚染されたというニュースは騒がれたが、稲わらの主成分元素はケイ素であって、放射性物質を吸着しやすい土にもケイ素は多く含まれている。
 ケイ素は、放射性物質を吸着しやすい性質があるようで、ガラスもケイ素が主成分元素となっている。
 だから、原子力施設で使われているガラス繊維フィルターは放射能の除去に有効なのだ。ガラス繊維フィルターは、より高性能のものも開発されている。放射能ガレキを燃やす焼却施設には、バグフィルターに加えて、ガラス繊維フィルターも追加すべきだろう。
 さらに、HEPAフィルターやセラミックフィルターも追加し、除去率をいっそう高めるべきだ。同じ除去プロセスを何回か回すようなメカニズムもあったほうが良い。

 また、ガレキにウランやプルトニウムがついていた場合、焼却炉の温度ではウランやプルトニウムは気化させられないので、気化させて冷却するという方法では取れない。
 皮肉なことに猛毒のα線核種のほうが気化しないだけにフィルターで除去しやすく、焼却灰にも残るので焼却しても環境中に排出されない可能性が高い。
 ところで、焼却灰は、埋め立てて捨てるか、セメントの材料になるようだ。
 埋め立ての場合、地下水が染み込んで環境中に放射能が漏れることもあるが、セメントの中に固めてしまえば、α線による内部被曝のリスクが減るのでα線核種の危険も減る。
 それでも、セメントは家屋の建設に使われるので、人間の住環境にα線核種が近づくのは気分の良いものではない。セメントが劣化して、中身が漏れ出る心配もある。

 気化から冷却のプロセスで除去しきれないウランやプルトニウムなどのα線核種やストロンチウムなどのβ線核種は、別の方法で除去することも考えるべきだろう。
 原発村では、コケやカビなどを使って、プルトニウムやストロンチウムを除去する方法を開発している。
 こうした開発の成果を今こそ利用すべきときだろう。

 焼却灰から放射能を除去すればするほど、残された放射能の含まれる残渣やフィルターの線量は高まっていって危険になるので、より専門性の高い施設での処理が必要になるが、こうすることで、放射能の集約的な管理が可能となり、長期保管するための施設も小さくできる。

 政府や自治体も、放射能を全国に拡散してしまえば、わからなくなるから面倒が無くて良いというような投げ遣りな姿勢で放射能ガレキの処理を進めるのではなくて、環境中への放射能の排出を可能な限りゼロに近づけるとの強い覚悟で取り組んでもらいたい。
 これ以上、消滅しない放射能の環境中への排出を繰り返すべきではない。
 覚悟があれば、現存の技術の組み合わせで、焼却による放射能の環境中への排出を極限まで落とすことは十分に可能なのだ。

posted by 春眠 at 08:30| Comment(0) | 原発・放射能・自然エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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