2012年03月05日

放射能の付着した廃棄物を薄めた焼却処分の問題

 林野庁の調査によれば、福島県内の森林の落ち葉から極めて高い放射能濃度が測定されたことがわかった。
 原発から10kmの双葉町と25kmの浪江町の落ち葉から
444万Bq/kgの放射性セシウムが検出され、80km圏でも
10万Bq/kgを超えている。
 昨年から部分的に腐葉土や落ち葉の高濃度放射能が見つかっていたが、林野庁の調査で葉に放射能が大量に付着することが再確認された。

 福島原発事故後、海外で精力的にメッセージを発していたのは、ECRRのクリス・バズビーとアメリカの原子力コンサルタントのアーニー・ガンダーセンの2人だった。
 バズビーは、日本での講演会でネバダの核実験後の植物の状況について、葉にべっとりと放射能が付いていたと明かしている。その通りに、放射能が葉にべっとりと付着している実態が日本でも明らかになった。
 河川や湾岸沿いに放射能は集まりやすいこともバズビーは警告していたが、これも最近の調査で日本でも同様の事態が起きていると証明された。
 バズビーとECRRの主張のすべてが正しいわけではないだろうが、日本の放射線学界から異端扱いされていたバズビーの主張通りの展開が日本でも起きている。

 バズビーと並ぶもう1人の賢人がガンダーセンだ。当初は彼もバズビー同様、ネットの中の際物のような扱いを受けていた。
 ガンダーセンは先月出版社の招きで来日し、日本記者クラブで記者会見を開いている。
 この記者会見で、ガンダーセンは日本の廃棄物焼却処理の方法に警鐘を鳴らしている。

 政府は放射能の付着した廃棄物を広域で薄めて処理して、法規制以下にしようとしているが、このやり方では長い目で見るとたいへんなコスト負担になるとガンダーセンは警告する。
 放射能濃度を薄めれば、短期的には簡単な放射能漏出の仕組みで処理できるので、安く済むが、簡易な防護の仕組みは長期的には崩壊し、放射能の漏出を止められない。そのときの再漏出の防護にはたいへんなコストがかかる。
 だから、高度な封じ込め機能を持った高コストの処理施設、保管施設を建設して、そこで、放射能の付着した廃棄物を集中的に処分すべきなのだ。

 最近でも、静岡県島田市で放射能の付着した震災ガレキを他の廃棄物と混ぜて、放射能濃度を薄めたが、これで濃度は薄まっても島田市が抱え込む放射能の絶対量は増えることになる。放射能が付着した廃棄物の安易な全国分散希薄化処理は、安易な低線量被曝の拡大となる。

 ガンダーセンは、福島原発3号機の爆発について爆発直後の見解では即発臨界の疑念を表明していたが、先月の会見ではややトーンを落として、爆轟という音速以上の爆発が起きる現象だとだけ説明し、1号機の音速以下の爆燃とは異なる現象が起きたので、原子力学界は3号機で何が起きたのか調査する必要があるとだけ述べていた。
 彼の専門は原発施設の廃炉なので、すべて確信を持った意見を述べられるわけではないだろうし、3号機の爆発については当初最悪の事態について語ったものと思われる。
 それでも、彼の4号機燃料プールの危険性についての見解は、日本政府の4号機燃料プール補強工事決行の判断を後押ししてくれたと思う。

 ガンダーセンはまた、スリーマイル島原発事故についての疫学的研究の結果が最近になって明らかになり、ガンの発病率を10%引き上げたと述べていた。
 彼のような現実のスリーマイル島事故の経緯を見て来た専門家による廃炉と放射能付着廃棄物処理の方法についての見解に日本の政府と自治体は真摯に耳を傾ける姿勢が求められる。
 表向きの放射能濃度を薄める姑息な策で安易に低線量被曝を全国に拡大すべきではない。



posted by 春眠 at 09:37| Comment(0) | 原発・放射能・自然エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。