2012年03月07日

放射能が付着した震災ガレキの広域処理の危うさ

 政府は新聞に広告まで出して、震災ガレキの広域処理を進めようとしている。政府は震災ガレキを受け入れた自治体には処分に必要な費用を援助するという方針も打ち出した。
 マスコミと政府が一体になった震災ガレキの広域処理キャンペーンが始まったと見て良い。
 政府・マスコミ一体のキャンペーンがあるときは、碌な事が起きない。先の大戦もそうだし、戦後は原発推進がこうしたやり方で行われた。

 政府は、8000Bq/kg以下の廃棄物は処分して良いと指導している。
 8000Bq/kgであれば、廃棄物処分場で働く作業員の年間被曝量が1mSvを超えないからだそうだ。いつものことながら、政府は外部被曝しか考えておらず、放射性物質を吸入して内部被曝するリスクを無視している。
 それでも、8000Bq/kg以下でも高濃度の廃棄物は、コンクリートなどで固めてから埋め立て地に捨てるようなので、多少の安心感はある。線量計測も続けるようだ。
 だが、日本のように雨の多い国では、雨水や地下水がコンクリートにも染み込み、長期的には放射能が環境中に漏れ出ることを防ぎきれない。

 また、放射能の付着した震災ガレキの受け入れを表明している自治体では、他の廃棄物と混ぜて、放射線量を下げて焼却するところもあるようだ。
 こうして表向き焼却灰の放射能濃度が低濃度になれば、焼却灰をそのまま埋め立て地に捨ててしまえる。
 そんなことをすれば、雨水などで放射能が環境中に簡単に漏れ出てしまう。
 低線量被曝全国拡散という犯罪行為に等しい政策が実行に移されようとしている。

 福島原発事故後に事故の過酷さを的確に指摘してきたアーニー・ガンダーセンは、放射能の付着した廃棄物は現在の政府方針のように薄めて簡易な処分をするのではなくて、体積を減らしながら、厳重に集中管理すべきだと先月の日本記者クラブの記者会見で述べている。

 放射能の付着した廃棄物の焼却には、排気中の放射能と焼却灰中の放射能の2つの危険がある。
 焼却によって出る排気中の放射能は、バグフィルター、セラミックフィルター、HEPAフィルター、ガラス繊維フィルターなどのフィルターを何重にも通し、高温サイクロン、排気冷却器、排気洗浄塔などを組み合わせれば、ある程度許容できるレベルにまで落とせるので、焼却施設の高機能化が求められる。
 問題は焼却灰のほうで、埋め立て地に無造作に捨てるのではなくて、放射能を高度に分離できる専門施設をつくり、そこに集めて放射能を焼却灰からできる限り分離する過程をかませるべきだ。
 放射能の分離方法は、化学的分離、物理学的分離、生物学的分離などいくらでもある。化学プラントや浄化装置の設計・開発をしてきた技術者や研究者を集めれば、最も効率的な方法を提案してくれるだろう。放射能廃棄の研究をしてきた原発村の村民も協議には加わればよい。
 最近は分子構造の三次元解析技術も進歩しているので、核種別に吸着させる化合物を設計することも不可能ではない。これは化学品・医薬品の最先端の研究機関では使われている手法でもある。副作用を無視できるだけにやりやすいかもしれない。

 今、政府が進めている震災ガレキ広域処理という名の低線量被曝全国拡散キャンペーンは、現在の日本人だけでなく、後世に渡って放射能汚染のツケを回すことになる。
 環境省の震災ガレキ広域処理の広告が載った新聞のベテラン記者が、今週のラジオで、震災ガレキの処分であまり過剰に反応しないようにと発言していた。
 マスコミにとっては、かくも広告収入の力は絶大なのだ。
 最近はさすがに電事連の広告は載らなくなったようだが、今後、環境省や廃棄物処理・汚泥処理の業界団体の広告が出て来るのに合わせて、震災ガレキの広域処理を推進する論説がマスコミに出て来るようだといつか来た道と鼻白む。



posted by 春眠 at 09:30| Comment(0) | 原発・放射能・自然エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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