2012年03月09日

南相馬市の黒い粉とホットパーティクル

 南相馬市の市長は、東京マラソンに参加したとき首都圏の大手メディアに取り上げられ、彼の復興への強い意志が伝えられた。
 その一方で、ほぼ同じ時期に南相馬市で発見された放射能濃度の高い黒い粉が主にネットで話題になっていた。

 飯舘村もそうだが、原発被災地の首長の話がしばしば首都圏や京阪神の大手メディアで伝えられても、そこで暮らす人々の中には、首長の方針に批判的な人々がいることをこうした大手メディアの報道は忘れさせてしまう。

 飯舘村には、村長の強引な帰村方針に批判的な若い住民がいることがネットではわかる。
 同様に南相馬市にも、市長の災害復興方針に批判的な人々もいる。
 こうした人々はネットを通じて貴重なメッセージを発信してくれている。

 南相馬市の大山こういち市議もそんな人々の一人で、彼は精力的に市内の黒い粉の放射線量の計測を行っている。
 市内至る所に黒い粉は存在し、どれもが高い放射線量を有していることが彼のブログに記載されている。

 放射能が藍藻に固まってできているという黒い粉のγ線量の高さも気になるが、もっと気になるのはα線が検出されているらしいことだ。
 詳しい核種分析を提案しているようだが、役所の対応には真剣さが足りないようだ。
 α線の核種分析には1カ月ほどかかり、高い専門性が必要なので、適当な分析機関を見つけるのが難しいのも事実だろう。
 そうであれば、とりあえず全α放射能を精度の高い計測機で計測してみてはどうかと思う。核種ごとに何ベクレルと細分化しても、結局核実験時のときの量と比べて多い、少ないという話にすり替えられてしまう。
 プルトニウムがどれだけあったかではなくて、プルトニウム、ウラン、アメリシウムなどの全α線放射能がどれだけあるかのほうが重要だ。

 ところで、ホットパーティクル仮説には懐疑的な見方をする専門家も多い。だが、今でも一部の内部被曝の専門家は、この説を根拠に説明している。
 いく種類もの放射性物質が微粒子として固まって飛散し、飲食や呼吸によって体内に取り込まれ、健康被害をもたらすというのだ。
 そのとき、たとえば放射性ヨウ素にα線核種がくっついていれば、放射性ヨウ素がα線核種の運び手の役割をして、甲状腺にα線核種を集めてしまう。同様に放射性セシウムにα線核種がくっついていれば、筋肉にα線核種を集める。
 つまり、α線核種が特定の臓器や器官との結びつきが無くても、臓器との結びつきの強い核種といっしょに体内に吸収されれば、その臓器や器官にα線核種が集まってしまう。

 もちろん、ホットパーティクル仮説には異論もある。
 だが、医療では、特定の臓器とくっつきやすい化合物に放射性物質を付加して、その狙った臓器にデリバリーするという治療法があるのも事実なので、ホットパーティクルが猛毒のα線核種を体内に運ばないとも否定できないのではないか。
 α線核種を単独で経口摂取しても、排泄されやすいようだが、こうしたホットパーティクルという形になると、異なる挙動を体内で示すと仮定しても良いように思える。
 また、吸入で放射性物質を肺の奥に取り込めば、これも排泄されにくい。
 α線放射能の内部被曝による健康被害は、コソボ、イラク、アフガニスタンの劣化ウラン被害だけでなく、α線核種を使った薬剤の副作用として医療現場でも証明されているので、注意が必要なことは言うまでもない。

 市長の東京マラソン参加をきっかけにして、南相馬市は震災被害からの復興をアピールしたいのに黒い粉騒動が大きくなれば、水を差された格好にもなるだろう。
 だが、住民の健全な復帰・居住のためにも、ホットパーティクル化した黒い粉のα線量、β線量を精密に調べ、その飛散の道筋を明らかにして、問題点・危険性を正確に把握することから始めるべきだろう。



posted by 春眠 at 11:34| Comment(0) | 原発・放射能・自然エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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