2012年03月25日

原発停止による経済成長

 日本では、原発を推進することで、80年代のバブル崩壊以降停滞していた経済を成長軌道に乗せようとの意図が311前にはあった。
 地震でも重大事故が起きないとされていた日本製原発は、メード・イン・ジャパンの品質と安全性を証明するもと理解(錯覚?)されていた。
 政府はメード・イン・ジャパン原発を輸出しようと支援し、日立や東芝といった重電メーカーは会社の経営資源を原発に集中させていった。
 テレビなどの電化製品は、他のアジア諸国で生産される製品に価格で敵わないため、高度な技術が集約されているように見える原発でアジアの電機メーカーと差別化をしようとの戦略は一見正しい。
 また、日本国内でも二酸化炭素削減目標を達成する手段として原発が持て囃され、国内の電力の半分を原発で賄うというエネルギー政策が311前は打ち出されていたので、内需によっても原発メーカーは儲けることができた。

 だが、311が無くても日本の原発が世界での競争力を維持できたかどうかは疑わしい。
 311前からすでに韓国メーカーには海外での原発受注競争で負けていたし、今後は中国が国内での原発利用をテコに海外進出するだろうから、日本の原発産業も他の電化製品と同様にすぐに価格競争力で敵わなくなる可能性が高かった。
 原発のような重厚長大型産業の造船業が日本から韓国、中国へと移っていたのと同じ流れを原発もなぞるだろう。

 韓国やこれから出て来るであろう中国の原発メーカーと国際市場で競争するのは容易ではなく、そのためには日本政府の経済的支援とのパッケージが必要ともなる。
 311以降の国民は、国内での原発推進だけでなく、原発輸出に過度な政府支援をつけることにも反対するだろう。

 一般的に日本の経済界は原発推進のようだが、国内の産業界の状況を見ていると陰では原発停止を見込んでいるような動きも見られる。
 大手商社は、積極的に北米のシェールガス開発に乗り出しているし、海運会社もLNG輸入増加に合わせてLNG船を増やそうとしている。
 また、コジェネ業界が潤ってきているという話も聞くし、コンビニチェーンが省エネ策のヒートポンプを導入したというニュースもあった。
 シャープは、太陽光パネルの販売だけでなく太陽光発電所の運営を始める。
 風力発電については、風力タービン・メーカーだけでなく、風力発電設備に必要な部材を提供するメーカーにも良い動きがあるようだ。

 つまり、原発が停止したことによって、その分を他のエネルギーで賄うためのビジネスが活況になる。
 たとえば、天然ガス依存が増えれば、それを運搬する海運業は活性化され、天然ガスを運ぶ手段としてのLNG船を製造する造船業も活性化し、LNG船に搭載される制御機器や部材、鋼板などの産業も活性化する。
 当然、LNG船が寄港する港周辺も活性化するし、LNGを国内で備蓄し、運搬する事業も活性化する。

 政府も、原発を停止するのかどうかをはっきりさせないと、原発停止を見込んで産業界の水面下で進む構造変化の流れに水を差すことになりかねない。
 原発が成長できないことによって成長できる別の産業があるということを忘れてはならない。



posted by 春眠 at 10:39| Comment(0) | 原発・放射能・自然エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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