2012年03月29日

優先されるべき放射能の人々からの隔離

 今年に入って、福島原発事故で放射能被災した地域への帰還が進んでいる。政府と首長が主体になって帰還の方針を進めているようで、住民もできれば帰還したいと思っているのだろうが、放射能の不安があるなかすべての住民に帰還を強制するわけにはいかない。
 帰還宣言をした川内村でも、森林の落ち葉やミミズからは極めて高い放射線量が確認されている。放射能被災地の空間線量が落ち着いてきたとしても、放射能がすべて地表に降下したのであって、環境濃縮や生物濃縮による内部被曝の危険は高まったとも言える。

 福島県内で避難区域と指定されなかった中通りでも、放射能汚染の深刻なエリアが今もある。土壌の汚染はチェルノブイリの避難区域に相当するのに県の中枢都市ということもあるのか、福島市や郡山市での住民避難への行政側の対応は極めて鈍い。
 できれば自主避難でも政府が支援すべきなのだが、あまり熱心とも言えない。

 放射能汚染地帯ということはわかっていて、避難したいのだが、仕事の関係もあって避難できない住民も多いようだ。
 であれば、いっそのこと会社ごと移転するというやり方もある。1社だけでなく取引先も含めた経済のクラスターごとに移転してしまえば、同じ仕事を別の地域で続けることができる。
 移転先の地場産業と競合しないように慎重に移転先を選択する必要があるものの、うまくいけば過疎地域の活性化にもなるので、経済合理性で判断すれば何ら問題は無い。
 とはいえ、土地と社会は結びついている側面もあるので、心情的には移転を受け入れられない人も出て来るだろう。また、公共サービスに従事している人は移転が難しく、民間の産業が移転してしまったら、彼らは職場を失ってしまうかもしれない。

 現在は正常な居住環境を取り戻すという意図で除染活動が行われているが、あまりうまく行っていないようだ。
 放射線量を減らせても、中々以前のようなレベルまでは下がってくらなかったり、除染後に下がった放射線量が新たに放射能がやってきて再び上がったりで、人の居住という視点からは問題もあるようだ。ただ、除染をすれば、環境中の放射能が減っていることは事実なので、少しずつであっても環境全体の放射能のレベルは下がっている。
 高濃度放射能汚染地帯では、人の居住に対しては効果が薄い除染よりも、住民の避難を優先すべきだろう。
 高濃度放射能汚染地帯で除染を続けるとすれば、住民の居住や帰還のためというよりは、少しでも環境中の放射能汚染のレベルを下げることが目的となろう。汚した大地はきれいにする。子孫に放射能のツケをできる限り回さない。

 落ち葉やコケ類に放射能が濃縮されることがわかっており、雨水の流れに沿って放射能が集められることもわかっているのだから、生物濃縮や環境濃縮といった自然の力を利用すれば効率良く放射能を捕捉できる。
 生物濃縮や環境濃縮を利用して自然の循環から放射能を断ち切るような方法をとれば、時間がかかるとしても、巨大なコストをかけずに確実に放射能を環境中から隔離することができる。
 除染によって集められた落ち葉や間伐材などは、放射能防護と放射能隔離が可能なバイオマス発電に利用することも考えられる。
 こうした住民の健康維持と国土の回復という2つの視点からの核事故対策が求められる。



posted by 春眠 at 08:23| Comment(0) | 原発・放射能・自然エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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