2012年04月08日

震災ガレキ受け入れを巡るそれぞれの判断

 札幌市の市長が安全の確証が無いとして震災ガレキ受け入れを正式に拒否した。
 札幌市のような日本の大都市が、無策の政府が押しつける低線量被曝拡散に明確な反対意思を表明したのは称賛に値する。
 国から地方へのカネのバラマキを人質にとって恫喝する政府に地方都市が反対するのはとても難しいのだが、低線量被曝から地域を守る勇気ある判断であり、他の日本の大都市でも震災ガレキ広域処理という低線量被曝拡散への反対の声をあげてもらいたい。

 札幌市は近年、医療産業分野での躍進が著しく、いくつかの先進的な医療関連企業が育っている。先進的医療関連サービスの分野の一部では札幌の企業は東京の企業を超えていて、次世代の日本の成長分野と言われる医療で強いのは、札幌市の将来の経済に明るい光を与えている。
 次世代を担う医療産業が伸びているだけのことはあって、札幌市は政府の言う安全な震災ガレキの嘘を見抜くのもうまい。
 群馬大の早川教授や文科省の航空機モニタリングを見れば、震災ガレキに放射能が降っているのは当然なのだ。
 札幌市の決定を奇貨として、日本が誇る美しい大地である北海道全域で震災ガレキ受け入れを拒否してもらいたい。その代わり放射能被災民の受け入れは積極的にやってもらいたいし、そのための政府支援こそ要求してもらいたい。
 北海道には、バブル経済期に産業を呼ぼうと開発したものの未使用なままになっている地域が多い。そういう開発遊休地には福島やその周辺から企業を積極的に誘致してもらいたい。そうすれば、避難しても仕事の心配が無くなる。

 気になる動きとしては、トヨタが震災ガレキの受け入れに前向きな姿勢を示していることだ。地域住民や自治体の同意が得られれば、震災ガレキ受け入れを進めたいようだが、愛知県はトヨタの企業城下町であって、トヨタ工場立地自治体がトヨタの意向に逆らえるわけがない。
 嫌なことだが、トヨタ工場立地自治体も原発立地自治体も、産業には逆らえない。

 こんな重苦しいトヨタの意向が報じられるとすぐに名古屋市が反応した。名古屋市では震災ガレキを、処分場がない、として拒否するという。
 この名古屋市の決定もすばらしい。特にトヨタが震災ガレキ受け入れに前向きな意向が報じられたすぐ後にトヨタ城下町の愛知県の県庁所在地の名古屋市が拒否を表明したのは意義深い。
 政治判断と経済とは別物であることを示したことになり、経済活動は国民の政治意思に支配されるという当たり前の判断が出されたことを素直に評価したい。

 トヨタは震災ガレキ受け入れなどという政府の誤った政策に乗るのではなくて、その技術力と資金力を生かして放射能除染・放射能隔離の先進的なメカニズムの創造で国民に貢献してもらいたい。
 トヨタには、震災ガレキの安全な焼却設備、放射能付着焼却灰の濃縮、放射性廃棄物の安全な管理といった分野での技術開発にかかわってもらいたい。
 先進自動車会社のトヨタができる国民への貢献というのは、誤った政府の政策に乗ることではなくて、トヨタの技術の先進性と資金力を生かして、技術と資金とで国民の安全を高めることにある。



posted by 春眠 at 08:54| Comment(0) | 原発・放射能・自然エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月01日

拡散した放射能の集約と資金の問題

 環境省は巨額の広報費用をかけて、マスコミに広告を出稿し、各地で震災ガレキ拡散街頭キャンペーンを展開している。
 細野環境相や地元選出の政治家が出て来て演説を始めると集まった人々の批判の声が湧き起こり、震災ガレキ拡散に反対するプラカードが掲げられる。
 ときに「絆」と書かれたプラカードを掲げる者もいて、サクラだとすぐわかる。
 環境省が震災ガレキ広域処理という名の低線量被曝拡散キャンペーンを進めれば進めるほど、絆という言葉がどんどん色褪せて行く。政治家の言葉が空虚に響く。為政者と住民の心は通じない。

 もともと現在の政権は震災ガレキ処理に慎重だったはずだ。だからこそ、今まで震災ガレキを焼却処分せずに仮置き場に置いておいた。
 ところが、ここにきて震災ガレキ広域処理のキャンペーンを「絆」という広告コピーとともに始める。巨額な広告宣伝費が動き出す。
 広告収入の減ったマスコミへの支援という実態を隠そうとしているのか、心情に訴える「絆」という言葉が安っぽいコピーにされる。

 政府は、事実を覆い隠そうとする空虚な宣伝コピーやキャンペーンのために巨額の費用をかけるべきではない。
 震災ガレキは、首都圏におけるゴミと同様に放射能汚染されており、首都圏のゴミから出た放射能の集約とともに震災ガレキの放射能の集約を考えねばならない。
 放射能汚染されていない西日本や北海道には断じて震災ガレキを持って行くべきではない。

 細野環境相は、北関東などの高レベルの放射能汚染地帯での放射能対策の施された専用の焼却場と処分場の建設を言明している。
 これは正しい判断ではあるが、これに止まらず、これらの焼却灰から放射能を分離し、隔離する方法を講じるべきだ。
 たとえば、融点の違いを利用して分離する放射能溶融分離の設備を開発する。放射性物質がいろいろな化合物になっていて、融点にバラツキがあるために融点の調整が難しければ、すべての放射性化合物を一度分解して、同じ融点の化合物に合成するなどの方法も考えられる。
 遠心分離や電気分解などの方法も組み合わせれば、焼却灰から放射性物質を分離することは不可能ではないはずだ。
 焼却灰から分離されてコンパクトになり、放射線量が高まった放射性廃棄物は、環境から隔離できる施設に保管する。

 放射能の集約化には、技術開発と建設に多額の資金を必要とする。
 だが、資金はあるのだ。
 8千億円以上の中国国債を買う余裕が日本にはある。しかも、為替介入する資金もある。外国為替資金特別会計には、約90兆円の資産があり、今こそこれらの資産を切り崩して放射能対策費にすべきだ。
 為替介入の資金が無くなれば、円高を止められないとか、米国債を売ったら円高になるとかいうのは、言い訳だ。
 日銀が追加の金融緩和をすれば、効果の薄い日本単独の為替介入などしなくて良いし、金融緩和のタイミングで外国債券を売れば良い。
 贅沢な海外投資や空虚な政府広報にカネを回す余裕があるのなら、今は国内の被曝拡散防止、住民避難、放射能集約にもっと予算をつけるべきだ。

posted by 春眠 at 10:24| Comment(0) | 原発・放射能・自然エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月29日

優先されるべき放射能の人々からの隔離

 今年に入って、福島原発事故で放射能被災した地域への帰還が進んでいる。政府と首長が主体になって帰還の方針を進めているようで、住民もできれば帰還したいと思っているのだろうが、放射能の不安があるなかすべての住民に帰還を強制するわけにはいかない。
 帰還宣言をした川内村でも、森林の落ち葉やミミズからは極めて高い放射線量が確認されている。放射能被災地の空間線量が落ち着いてきたとしても、放射能がすべて地表に降下したのであって、環境濃縮や生物濃縮による内部被曝の危険は高まったとも言える。

 福島県内で避難区域と指定されなかった中通りでも、放射能汚染の深刻なエリアが今もある。土壌の汚染はチェルノブイリの避難区域に相当するのに県の中枢都市ということもあるのか、福島市や郡山市での住民避難への行政側の対応は極めて鈍い。
 できれば自主避難でも政府が支援すべきなのだが、あまり熱心とも言えない。

 放射能汚染地帯ということはわかっていて、避難したいのだが、仕事の関係もあって避難できない住民も多いようだ。
 であれば、いっそのこと会社ごと移転するというやり方もある。1社だけでなく取引先も含めた経済のクラスターごとに移転してしまえば、同じ仕事を別の地域で続けることができる。
 移転先の地場産業と競合しないように慎重に移転先を選択する必要があるものの、うまくいけば過疎地域の活性化にもなるので、経済合理性で判断すれば何ら問題は無い。
 とはいえ、土地と社会は結びついている側面もあるので、心情的には移転を受け入れられない人も出て来るだろう。また、公共サービスに従事している人は移転が難しく、民間の産業が移転してしまったら、彼らは職場を失ってしまうかもしれない。

 現在は正常な居住環境を取り戻すという意図で除染活動が行われているが、あまりうまく行っていないようだ。
 放射線量を減らせても、中々以前のようなレベルまでは下がってくらなかったり、除染後に下がった放射線量が新たに放射能がやってきて再び上がったりで、人の居住という視点からは問題もあるようだ。ただ、除染をすれば、環境中の放射能が減っていることは事実なので、少しずつであっても環境全体の放射能のレベルは下がっている。
 高濃度放射能汚染地帯では、人の居住に対しては効果が薄い除染よりも、住民の避難を優先すべきだろう。
 高濃度放射能汚染地帯で除染を続けるとすれば、住民の居住や帰還のためというよりは、少しでも環境中の放射能汚染のレベルを下げることが目的となろう。汚した大地はきれいにする。子孫に放射能のツケをできる限り回さない。

 落ち葉やコケ類に放射能が濃縮されることがわかっており、雨水の流れに沿って放射能が集められることもわかっているのだから、生物濃縮や環境濃縮といった自然の力を利用すれば効率良く放射能を捕捉できる。
 生物濃縮や環境濃縮を利用して自然の循環から放射能を断ち切るような方法をとれば、時間がかかるとしても、巨大なコストをかけずに確実に放射能を環境中から隔離することができる。
 除染によって集められた落ち葉や間伐材などは、放射能防護と放射能隔離が可能なバイオマス発電に利用することも考えられる。
 こうした住民の健康維持と国土の回復という2つの視点からの核事故対策が求められる。

posted by 春眠 at 08:23| Comment(0) | 原発・放射能・自然エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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