2012年02月23日

供述調書の多くが証拠不採用となった陸山会事件小沢裁判の行方

 田代検事や前田元検事の法廷での証言によって、供述調書の任意性が問われ、また、田代検事の捜査報告書にはあった小沢被告の強い関与を示す部分が石川議員の隠し録音には無かったという点での不一致が判明し、石川議員の調書の多くが却下された。

 法廷での証言を重視して審理が進むのが、最近の重大事件裁判の傾向で、陸山会事件の元秘書の裁判でも、JR福知山線脱線事故の元社長の裁判でも、法廷での証言が信頼されて、判断が下されていた。
 だから、法廷での審理で供述調書の信頼性に疑念が生じたときに証拠として却下されるのは、最近の傾向に沿っている。


 陸山会事件の元秘書の裁判でも、多くの供述調書が却下されたが、水谷建設元社長の偽証罪の成立する宣誓した証人としての贈賄を認める証言が重かった。
 JR福知山線脱線事故では、検事がダイヤ改正の意味を十分に調査しなかったことなどがあり、法廷での証人の証言が供述調書と相反していたが、偽証罪の成立する宣誓した証人の証言のほうが重かった。

 公判での立証過程で発覚した問題に対応する場合、法廷での証言を重視するというのが、ここのところの裁判所の姿勢となっている。

 今回は小沢被告の強い関与を示す石川議員の供述調書は不採用となったが、石川議員は小沢被告の公判でも強い関与は否定していたので、これらの供述調書が採用されたとしても、法廷での証言が優先された可能性が高い。
 そして、大事なのは、石川議員は小沢被告の政治収支報告書虚偽記載の関与を全面否定しているわけではないということだ。
 小沢被告は一貫して政治収支報告書や収支については知らない、秘書に任せていると主張しているが、小沢被告公判で石川議員は口頭で収支については小沢被告に話していると証言している。
 また、池田元秘書が小沢被告への収支の報告を認めた調書は証拠として採用されている。
 しかも、4億円の融資書類に小沢被告が署名したとの客観的事実もある(小沢被告は内容を知らずに署名したと主張)。

 会計責任者の大久保元秘書は、形だけの会計責任者で、実務は別の秘書がやっていたと小沢被告の公判で証言している。
 会計責任のある、会計責任者も資金管理団体の代表の小沢被告も、収支報告書については知らないと言い張っている。
 少なくともどちらかには収支報告については重い責任があるはずで、小沢被告が無関係なら大久保元秘書の責任は重く、大久保元秘書が無関係なら小沢被告の責任は重い。

 検察官役の指定弁護士は、客観的事実によって有罪を立証しようとしているようだ。
 とりあえず、法廷での証言は却下されず、正当性の欠ける調書は排除されたので、採用された調書は確実な証拠とされる。
 これら正当性が確認された証拠だけでも、検察官役の指定弁護士は有罪の立証はできるだろう。
 検察の供述調書が信頼を失った最近の裁判では、裁判所は法廷での立証過程を重視し、法廷での証人の証言を重視している。法廷で最後の捜査をやっているようなものだ。
 そして、法廷での捜査の結論は、裁判所が下す。



posted by 春眠 at 11:35| Comment(0) | 政治・経済・社会・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月18日

宗教的パワーと行政改革

 大阪市の橋下市長が大阪府知事時代に世間で大いに騒がれたのが、私学助成金をカットする方針を打ち出したときで、教育関係者のみならず私立高校に通う高校生も巻き込んで大激論が沸き起こった。
 私立高校にはあまり豊かでない家庭の子供も多く通っていたので、府知事は大阪府の財政を健全化するといっても、単に弱者にしわ寄せしてるだけではないかと思った人も多かった。
 ところが、私学助成金カットとともに低所得者の子弟には経済支援する方針も打ち出し、本当に手当てを必要とする層に限りある府の予算を回しただけなのだとわかり、決して弱者へのしわ寄せでないことはわかった。
 他の件では批判はあるだろうが、この件については、弱者救済をしながら、財政を圧縮した手腕は素直に評価されていい。

 大阪府知事から大阪市長になっても、同じ手法をとるようで、大阪市の高校の統廃合についても、高校が減ると通学費に苦労する生徒が通えなくなるという意見に対しては、そういう子供には通学費の支援をすればいいと言い切る。
 教育の質向上と効率アップという相矛盾する改革に取り組んでいる。
 受験が激しかった時代は、教師が何もしなくても生徒のほうで勝手に勉強してくれたが、今はそういう時代ではなくなり、橋下は教師の質の向上を重視している。

 そこで話題になっているのが、君が代斉唱時に起立しない教員を指導し、罰するという方針だ。
 思想信条の自由を害する思想統制のようにも思える。
 困窮している生徒には優しく、教育の質向上を目指して、教員や教育委員会には厳しいのは良いとしても、思想信条の自由くらい許しても良いのではと思う。

 実は似たような手法をとった政治家が他にいる。
 国鉄や電電公社の民営化を成功させた中曽根康弘は靖国神社に公式参拝し、郵政民営化を実現した小泉純一郎は首相在任中に終戦記念日での靖国神社参拝を行っている。
 大掛かりな行政改革を実行した政治リーダーは、どうも国家神道に傾きがちなようだ。
 たった一人で組合の強い巨大な組織に立ち向かうのであるから、大人気の政治リーダーも弱くなるのかもしれない。
 巨大な組合や組織よりも強い何か、政治リーダ−よりも強い偉大な力に頼りたくなるのかもしれない。それが日本では国家神道的なものになる。

 ロシアでも似たようなことがあった。
 プーチンは2000年にロシア大統領になると、がたがたになっていたロシアの行政と経済を立て直した。プーチンは今はその強権的な手法に批判もあるようだが、大統領在任中は大多数のロシア国民が支持した。
 そんなプーチンは大統領在任中にロシア正教とユダヤ教の両方を大いに持ち上げた。
 共産主義という宗教じみた精神的支えを失ったロシアで、宗教を通じてロシア国民の精神統合を狙った。精神の統合されたロシア国民に自分の政策を流し込む。
 プーチンは強いリーダーと言われているが、それでも神様には敵わない。

posted by 春眠 at 09:34| Comment(0) | 政治・経済・社会・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月16日

小型スーパーが進出する都心の不動産価値

 最近、東京の都心に小型スーパーが進出しているという記事を見た。場所は港区だという。
 過去5年間首都圏は人口の伸び率が極めて高かったので、首都圏の郊外にスーパーが進出するならわかるが、港区といえば東京のど真ん中で、高級品店が並ぶエリアとの印象があり、不動産価格も極めて高いのに郊外にできるような小型スーパーができた。
 そこには居住者もいるのでスーパーがあっても不思議ではないのかもしれない。
 それでも、極めて高い不動産価値に見合った利益があげられるかどうかが問題で、高価な高級品なら少ない品揃えでも採算が合うだろうが、安い日常品や食料を、店舗面積が小さく大量販売の難しい小型スーパーで販売して、採算性はどうなのかと疑問を持つ。
 日常品や食品を売るのであれば、それこそ都心の居住者を集中して呼び寄せられるような立地の大きめのスーパーで、高めの商材を扱わないと都心では難しいように思う。

 逆に、小型スーパーなら、店舗面積が狭いからこそ、都心部でも不動産費用を低くできるとの理屈も成り立つかもしれない。徒歩圏内にスーパーができるのは、都心部の住人にとっても嬉しいだろうし、少ないながらも採算がとれる程度には来客数を見込めるのかもしれない。
 ただ、気になるのは、報じられた港区の小型スーパーの開店が昨年の
11月だということだ。

 山本太郎は、熊本のトークショーで、自分の品川の港南にあるマンションを売るときに購入価格の半分にしたと明かしている。
 都心の人気エリアですら、価値が半減している。
 こういう情報はあからさまに外には出ないようで、山本は、東京では不動産が動いていないとも言っている。

 人口が増え続けている傾向のあるはずの首都圏で、不動産が動いていなかったり、実際に人気エリアのマンションが売れなかったりといった状態となっている。
 人口が増えるのなら、不動産価格は上がって行くべきなのに、一部で極端に下がっているということが意味するのは、実際は出て行きたがっている人が多くなっていて、来たがっている人が減っているということだろう。
 その理由は、おそらく福島原発事故によって起きた首都圏の放射能汚染だろう。

 都心部に進出した小型スーパーは、確かに生産性向上や効率アップで企業努力はしているのだろう。
 それでも、これまでなら高級品店でなければ採算のとれないエリアに進出できたのは、小型スーパーでも採算が合うレベルにまで都心の不動産価値が下がっているというように考えたほうが納得できる。
 小型スーパーの都心部進出は、今後の首都圏について何か暗示的ではある。

posted by 春眠 at 14:32| Comment(0) | 政治・経済・社会・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。