2012年02月11日

大阪市に続き東京都でも法定数を越えた原発住民投票を求める署名活動

 東京都での原発の是非を問う都民投票条例の制定を求める署名活動が今月9日に締め切られた。
 締切り1ヶ月前くらいまでは8万筆程度で、都民の原発への関心が薄れていて、署名集めに苦労しているとも報じられ、法定署名数の21万筆を超えるのか危ぶまれていた。
 署名には無効もあるので、過去の経験から最大で2割の無効署名があるとすれば、27万筆が必要となり、平均では1割程度の無効署名が出ているので、少なくとも24万筆程度は必要となる。

 この活動を主導する市民団体のホームページを見ると2月10日で27万筆を超えていて、28万筆に届こうとしている。
 これだけの署名が集まれば、たとえ無効署名が出ても、まず間違いなく法定数は超えるものと思われる。
 市民たちの努力が実り、大阪市に続いて東京都でも住民投票条例の制定を請求できることとなった。あとは議会が認めるかどうかの判断に委ねられる。
 この市民団体では、今後は議会や大阪市長、都知事サイドへの働きかけを強めるようだ。

 法定数に達するかどうか危ぶまれながらも、締切りに近づくにつれて、活動が盛り上がり、署名数が増えて行った流れは、大阪市も東京都も同じであることが興味深い。
 大阪市では年末に大阪市外から人の集まる巨大商業地域から、大阪市民の生活に密着した場所であるスーパーなどへと署名集めの主戦場を移してから、署名が急激に増えたようだが、東京都でも大阪市にならって、スーパーや団地のなどの都民の生活圏で人が集まる場所に署名の主戦場を移してから、署名数が急激に伸びたようだ。

 新宿駅前や渋谷駅前は、人は多くても東京都の外から来ている人も多いので、大阪市の梅田や難波と同じで、地元住民は捕まりにくいのかもしれない。
 また、見ず知らずの人がやっている街頭署名で、名前のほかに住所、生年月日、印鑑まで求められると、個人情報を別の目的で流用されないか不安になるし、詐欺師の署名かもしれないとの疑いも生じる。
 近年、巧妙な詐欺やら企業や官庁の情報流出などが増えているので、このへんも大きな駅での街頭署名が敬遠された理由かもしれない。
 こんな状況でも、住民の生活に密着したスーパーや団地での署名活動が大阪市でも東京都でも排除されなかったということに意義がある。署名集めの活動をときに不審の目で見ながらも、潜在的に原発を心配している人が多いからこそ、住民の生活圏での署名活動が受け入れられ、法定数超えの署名が集まったのだろう。
 最近は、東京でも大阪でも原発への関心が薄れていると言われるが、実はそうでもないと思わせる大阪市と東京都での署名数法定数超えの結果だった。



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2012年02月08日

パナソニックの赤字と人々にとってのテレビ

 パナソニックは2012年3月期の決算が過去最悪の7800億円の赤字に落ちることを発表した。このところ国内電機メーカーの酷い業績予想が次々と発表され、日本の電子産業の落日を思わせる。

 国内電機メーカーの足を引っ張っているのは、テレビ事業だという。
 震災による需要減もあったろうし、円高やタイの洪水の影響もあったし、海外メーカーとの価格競争も激しい。
 テレビ事業の業績不振要因に今年起きた出来事をいくつかあげているが、パナソニックのテレビ事業が不振なのは今年度だけではない。過去2年も連続で営業赤字だった。
 地上波デジタル化によって、家電業界は新しいテレビ・ライフを提案し、テレビ事業再生の起爆剤にしようとしていたのに目論見がはずれた。

 家電業界全体のテレビ出荷台数については、一昨年は前年比84%増で、昨年は7月までは同32%増となり、地上波デジタル完全移行を目指して、テレビの出荷台数が上がっていたことはわかる。

 ところが、地上波デジタル完全移行が終了した昨年8月以降はさっぱりテレビが売れないようだ。
 また、昨年9月には、NHKの解約が9万件超となったことも伝えられた。これは、僅かとは言え、テレビ視聴者数の減少を示している。

 本当に安値攻勢だけでメーカーのテレビ事業が儲からなくなっているのかを疑う。
 テレビの買い替えにしても、テレビを見られなくなるとはっきりした理由は無いものの何か困るのではないかとの防衛本能で買い替えた者が多いからこそ、高価なものよりも安売り品に人々は飛び付くので、メーカーの収益には貢献しない。
 テレビ局や家電メーカーが考えているほど、人々はテレビ視聴を重視しなくなってる。
 テレビをデジタル化しなくても、PCをインターネットにつなげば、世界中から情報と映像を受け取ることができるし、PCユーザーの発信の手段もいくつもある。
 PCとインターネットに慣れた人々は、デジタル化されたテレビを相手にしてる暇は無い。

 パナソニックは半年前の通期予想で、テレビ事業の業績が悪化する理由として震災の影響をあげていた。
 それは当たっていた。
 震災による原発事故で、原発推進派よりのテレビ報道に人々はうんざりしたのだ。
 テレビの必要性について多くの人々が疑問に思い始めている。

 価格競争だけでない、もっと根本的な問題がテレビにあるとすれば、その問題を読み誤ると、大手家電メーカーは再生の道を誤ることになる。

posted by 春眠 at 11:14| Comment(0) | 政治・経済・社会・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月01日

TPP交渉対象外となりそうな混合診療

 1月下旬にアメリカ側が混合診療全面解禁をTPP交渉から外すと日本側に伝えていたことがわかった。
 日本国内の反対論に配慮したと見られている。

 混合診療については、保険財政健全化と先進医療の開発と速やかな導入という視点からは賛成が多くなり、国民皆保険制度維持という視点では反対が多くなる。

 混合診療賛成派は、これまで自由診療で全額患者の自己負担だった治療で、一部は健康保険でカバーされるようになるので、負担が減るから良いではないかと主張する。
 がん治療に効果がある重粒子線治療は、今は自由診療で全額患者負担となり、金の無い患者はこの治療を受けられない。混合診療なら一部は保険が適用されるので患者の負担が減るとはいっても、混合診療でこの治療の自己負担分がどれだけ減るのかはよくわからない。混合診療が認められても、患者の払う保険適用外の部分の治療費が重ければ、やはり金の無い患者には無理だ。

 混合診療が導入されたとしても、現在の保険適用範囲がそのまま変わらずに、高度な先進医療部分だけが保険外となるなら、国民すべてに今の医療水準は維持できる。
 だが、保険適用外とされた先進医療が永遠に保険適用外であれば、保険適用で受けられる医療が時代遅れのものだけになってしまう。

 また、医療費削減が混合診療導入の目的としてあげられているので、現行の保険適用範囲が削られるのではないかとの不安もある。
 健康保険の自由化という名目で、公的健康保険が負担していた範囲が狭められ、多くの一般的な医療が民間医療保険の範疇になってしまうかもしれない。 
 ここに外資系保険会社・金融機関の思惑があるとも言われている。
 外資系だけでなくて、日本の保険会社も安定収入が期待できる通常の公的保険適用範囲の医療部分に参入できれば、儲けることができるので、日本の民間保険会社も混合診療導入に熱心だった。

 ところで、混合診療の範囲がどこで決まるかといえば、政府の委員会や審議会で決まる。
 そこに保険財政立て直しを名目にして公的保険の範囲を狭めようとする委員が多ければ、健康保険は民間の保険へと移行する傾向が強まる。
 だが、もし公的保険適用の範囲を広げようとする委員が多ければ、先進医療なども順次公的保険が適用されるようになるかもしれない。たとえば、重粒子線治療もそのうち保険適用となるかもしれない。
 そうなると今度は、自由診療の重粒子線治療のカバーをうたい文句にしている現在の民間の医療保険の売りが失われる。もしそのときまでに重粒子線治療よりも優れた先進医療が登場していなければ、民間保険会社は新たな売りが見つけられず、収益を落とすことになり、公的健康保険の民業圧迫となって、これはこれで揉めそうだ。

 現行の国民皆保険制度のもとでも、効果が認められ、導入されてからかなり年月の経過した先進医療については順次保険適用してほしいというのも、患者の切なる願いだろう。
 古い医療権益を守るために新しく効果のある医療技術が保険適用外となっているのではないかとの疑念もある。

 もうおわかりのように混合診療を導入しなくても、現行の保険制度のもとで、公的保険の範囲を狭めることも広げることもできる。
 現行の保険制度でも、民間活力導入や保険財政再建のうたい文句で自由診療の範囲を広げることができるし、一般国民に先進医療の恩恵を施そうとすれば、自由診療を増やさずに保険適用の軽重を効果の薄い古い医療から効果の高い先進医療へと入れ替えることもできる。

 とにかく、患者の思いは様々で、医者も様々だ。そこに様々な民間企業の思惑や、国の財政担当者の思惑も絡み合って、健康保険と医療の問題を解決するのは楽ではない。

posted by 春眠 at 11:37| Comment(1) | 政治・経済・社会・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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