2012年03月20日

財政苦境にある日本の贅沢な海外投資

 安住財務相が中国政府から中国国債約8640億円相当の購入許可を受けたと明らかにし、中国国債購入の意向を示したとき、人によっては不思議な感じがしたのではないか。
 日本はいつも財政が苦しいと報じられる。GDPの伸びは悪いのに政府の借金だけは増え続けている、将来の社会保障制度を維持するためにも増税しなければならない、本当はギリシャよりも財政状況は酷い、などの厳しい財政状況がいつも声高に叫ばれる。
 それなのに、この時期に突然中国国債を8千億円以上も買うという政府の意向が伝えられる。

 国民にはもっと負担せよと増税だけやたらと熱心な現政権ではあるが、政府は優雅に海外投資をしゃれこんでいる。
 これはまるで国民が飢え死にするのを眼下に眺めながら、老舗料亭の高級料理に舌鼓を打って、海外投資の話に興じている特権階級のようだ。

 東日本の半分が放射能汚染されてしまっている。その被害は深刻で、未だに東日本の食品は海外で輸入規制の対象になっている。
 政府はまともに放射能の害と向き合うこと無く、食べて応援などとキャンペーンを繰り広げているが、世界はまったくついて来ない。
 放射能被害の拡散防止と高濃度放射能汚染地帯の住民、特に子供たちの保護のために巨額の予算を投入すべきなのに何ら具体的な動きは見えず、逆に安全キャンペーンに巨額の宣伝費を費やしている。

 中国国債の購入には、戦略的な意味もあるのだろう。中国が日本の国債を購入しているのに日本が中国の国債を持っていないのはバランスが悪いとか、投資価値があるとか、日本最大の貿易相手国・中国の経済を支える必要があるとか、こういう理由はわからないわけではない。
 だが、こうした理由が納得できるのは、日本にもっと余裕があるときだ。
 今は財政が苦しいだけでなく、東日本の半分が放射能汚染されるという重大な危機に直面しており、優雅に海外投資をする余裕など無いはずだ。
 おそらく財務省のシナリオに不慣れな担当大臣が乗ったのだろうが、国民を見ずに財務省が仕事をしていることがわかる良い事例となった。
 今回ばかりは、世界の経済動向を注意深く観察しながら、タイミング良く金融緩和策を発表した日銀のほうが国民を見ていたことになる。
 こうなると財務省が仕組んだ社会保障制度維持のための増税というシナリオも国民のためではなくて、財務省を守るためにやっているのではないかと勘繰りたくなる。



posted by 春眠 at 14:37| Comment(0) | 政治・経済・社会・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月18日

震災ガレキの広域処理よりも放射能の広域除染

 3月17日に細野環境相は群馬県中之条町を訪れ、震災ガレキ処分の協力をお願いした。
 大手新聞への環境省の広告掲載に続いて、震災ガレキ広域処理のキャンペーンを環境相自ら率先して行っている。

 福島原発事故での放射能被災地はかなり広範囲にのぼる。
 福島県のみならず、宮城県、岩手県南部、関東全域、静岡県東部くらいまでが放射能に汚染されたと言える。
 これらの地域との県境地帯も放射能汚染地帯と言えるかもしれない。

 震災後に構造物が崩壊してできた震災被災地のガレキには、相当な量の放射性物質が降っていて、焼却場で焼却すれば放射能は濃縮されるし、排気ガス中の放射能もフィルターを通してもまったく無くなるわけではない。

 それでも、震災ガレキは焼却することによって、体積を小さくし、管理しやすくしたほうがいい。
 震災ガレキは移動させずに震災被災地の公園の地盤固めに使ったほうが良いという意見もあるが、それだと人々の生活環境に放射能が常に存在してしまい、雨水や雪解け水などで簡単に放射能は漏出する。
 できれば震災被災地で、放射能の環境への漏洩を防止できる高性能焼却場を建設するなり、既存の焼却場を改築して高性能化するなりして、焼却したほうが良い。
 だが、出て来た焼却灰は、震災被災地に安易に埋め立てするのではなくて、福島原発敷地内か、近くの居住不可能な地域に放射能分離施設を建設し、そこでさらに焼却灰から放射能を取り除いてから、埋め立てるようにする。焼却灰には放射能以外の有毒物質も含まれていて、有毒物質から有毒物質を取り除くのは虚しい作業かもしれないが、それでもやる。
 放射能の含まれた焼却灰を日本全国で埋め立てるということは、核燃料棒を切り刻んで全国にばら撒くのと同じである。焼却灰は集約して放射能を取り除き、濃縮された放射性廃棄物だけを原子炉の中へとできるだけ近づける。

 放射能被災地の中でもとりわけ汚染の深刻なのが、北関東の山間部と首都圏江戸川水系流域である。
 これらの地域も除染する必要があり、除染後の高放射能のゴミや土壌は焼却することになる。
 群馬県中之条町は、放射能汚染が深刻なエリアに含まれていて、そこの放射能の除染も必要で、放射能のゴミや土は焼却される。
 これらの深刻な放射能汚染地域には、放射能の漏出を防止する高性能焼却場が必要である。

 もし震災ガレキをどうしても分散して処理したいなら、震災被災地以外の高濃度放射能被災地での除染活動とセットにして、処理するのが合理的と言えるだろう。
 たとえば、中之条町を含む北関東の山間部の落ち葉を集めて、長期の除染活動を行うことにして、放射能濃度の高い落ち葉を焼却する専用焼却炉を設定する。そこで震災ガレキも燃やす。
 落ち葉が除去されると山地の栄養の循環が働かなくなり、土地が痩せる危険があるので、そこには西日本の安全な腐葉土を入れる。
 同様に江戸川水系流域でも、取り除いた土壌や砂に代わって安全な西日本の土壌や砂を入れる。

 つまり、日本を放射能汚染から回復させるために、全国に震災ガレキをばら撒くのではなくて、放射能汚染されていない西日本には、安全な土壌の放射能汚染地帯への提供によって貢献してもらう。
 安全な日本の土を守るためにも、西日本や北海道などの放射能汚染されていない地域で、震災ガレキを焼却し、埋め立て処分すべきではない。

posted by 春眠 at 10:30| Comment(0) | 原発・放射能・自然エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月16日

原発停止のおかげで日本経済復活の兆し

 1月の日本の経常収支は、過去最大の赤字額となった。
 赤字の内訳を見ると、輸出では中国向けの輸出が減ったことが、大きな赤字要因となった。中国そのものの経済成長が鈍ったというよりは、ヨーロッパ経済危機で中国からヨーロッパへの輸出が減ったので、日本からの部材や製造装置の中国への輸出も減ったようだ。
 経済不振の玉突き現象が起きた。
 もう一つの大きな赤字要因は、天然ガスの輸入が増えたことだ。

 天然ガスの価格高騰もあって、輸入燃料費は上がっている。
 原発停止で、原発分の電力を天然ガス火力で補わないといけないので余計な輸入燃料費が発生している。

 この状況で勢い付いているのが原発推進派と再生可能エネルギー推進派だ。
 原発推進派は「ほら、見たことか。原発を止めると経常収支が赤字になって日本経済を損なうのだ」とほくそ笑む。
 再生可能エネルギー推進派も「だからこそ、原発や火力に代わって国内で自給できる再生可能エネルギーをもっと推進せよ」となる。

 だが、この巨額の赤字は輸出依存型の日本経済にとっては良い面もある。
 この発表の後、円安が一段と進んだのだ。
 この前に日銀が金融緩和策を発表していて、そのときも円安となったが、1月の経常収支大赤字発表でさらに円安が進んだ。
 日銀も金融緩和策の成果がここまで出るとは予想していなかったようだ。

 世界経済が、アメリカ経済の復調に合わせて回復しつつあるので、日本の経常収支赤字と日銀の金融緩和策だけで円安に振れているわけではないが、どちらも大きな要因であることに変わりはない。

 日本の黒字が続いていた経常収支についても、その悪い面を考え直してみる必要がある。
 円高が続くのは、いくら円が高くなっても経常収支の黒字が続くからであって、経常収支が赤字になれば、円は弱くなる。つまり、円安となる。
 円安となれば、日本の企業は再び日本から輸出しやすくなって、国内の経済が息を吹き返す。

 だから、国内産業を弱体化させないためには円高基調にしないほうが良くて、あえて何かを輸入し続けて、いつも円安に振れる状態にしておいた方が良い。
 日本は加工貿易国なので、完成品を輸入するよりは、原料や燃料を多く輸入して、経常収支が極端な黒字に触れないように調整しておく。

 つまり、原発を使い続け、天然ガスの輸入を抑えることで、経常収支の黒字が増えてしまい、円高に振れて、国内の経済が苦しくなるので、原発を停止して天然ガスを輸入し続けることが日本の国内経済の強さに通じる。
 もちろん、天然ガス価格を引き下げる努力は必要で、北米の天然ガス価格はシェールガスの登場で極めて安くなっている。燃料調達先を広げれば、天然ガス価格を下げることはできる。

 天然ガス輸入の急増で経常収支赤字になり、円安に振れたことで、実はこれまで日本は原発を使用していたから日本の経済が停滞し続けていたのではないかとの疑念が生じる。
 全原発停止でしばらくやってみたらいい。

posted by 春眠 at 13:51| Comment(0) | 政治・経済・社会・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。